金民雄慶熙大学校教授と金東椿聖公会大学教授の講演会(報告)

日韓反核平和連帯の主催で、「東北アジアの平和構想をめざして」というテーマで、韓国の慶熙大学校の金民雄教授と聖公会大学の金東椿教授の講演会が、それぞれ2020年2月1日と2月29日に東京新宿の文化センターアリランで開かれた。
金民雄教授は、韓国における民主化運動の豊富な体験から、「日韓の基本関係とは何か」を主題にお話をされた。特に、1965年の日韓基本条約が、冷戦の枠組みのなかで、韓国を日本に経済的に従属させる政治的妥協の産物に過ぎず、そして、その構造が、現在も日韓関係を規定しており、日韓基本条約の見直しが、日韓関係を対等にするために重要であることを強調された。また、一連の米朝会談にも触れ、シンガポ―ル会談では、米朝関係の正常化が全ての前提になっていたにも関わらず、ハノイでは、アメリカ側がいきなり「非核化」を持ち出して、その前提を破り、金正恩委員長が手ぶらで帰らざるをえなくなったことは、「アメリカと交渉してもしょうがない」という意識を朝鮮に持たせたという観察も、日本メディアからは聞かれないことであり、これは日朝関係を考える際にも重要な視点であると考えられる。
金東椿教授は、日本で翻訳出版される予定のご自身の著書を踏まえて、昨今日韓で一定の影響力を持っている『反日種族主義』という書物の著者の思想的な系譜等に触れられたうえで、支配-被支配の従属関係や階級の視点を欠いた同書の根本的な問題点を指摘された。近代化路線の負の側面である格差問題や外国人労働者問題等は日韓が共通して抱える問題だが、韓国においては、民主化運動からキャンドル革命にいたる流れの中で、南北関係を改善し、社会を変革していこうとする動きが存在する一方、冷戦構造からの脱却への動きが希薄な日本は憂慮される状況であり、東北アジアの平和的な共存の条件として、朝鮮戦争の終結が持つ重要性を指摘された。
なお、金民雄教授の講演会は、1月31日と2月2日に、それぞれ新潟と福岡にて、金東椿教授の講演会は、3月2日にも福岡にて開催された。