台湾の原発

台湾
Taiwan

2016年10月20日、台湾の蔡英文政権は2025年に「原発ゼロ」にすることを決めた。 日本企業が原子炉などを輸出し「日の丸原発」とも呼ばれた第4原発は、2014年に建設が凍結され、建設中止となった。

[脱原発宣言」

蔡英文政権は、2025年に原発ゼロを実現し、台湾をアジアで最初の「非核の島」とする決意を固めた。2025年には稼働中の原発のすべてが退役することを機に「台湾の電力構造を改変し、原発の稼働時期が終わる前に原発依存から脱却しよう」と呼びかけた。蔡英文氏は「世界に564の原発が過去を含めて建設され、うち6カ所で機体損傷の事故が起きている。確率は1%を超えている。日本も台湾も地震地帯に属する。日本で起きたことは台湾でも起こり得る。さらに原発事故の問題は確率の問題ではなく、いったん起きてしまえば、我々はその被害に耐えられないということだ。第1、第2、第4原発で事故が起きれば、台北だけで数百万人の避難が必要になり、首都機能が停止し、汚染による人民と経済の損失、復興の膨大な支出など、その代償はあまりにも大きい」と書いている。

【原発の現状】

台湾はアジアの中で日本に次いで早期に原子力発電所が建設された国です。  1970年代後半から、米国のサポートを受け、台北の近くに第一と第二原発(二つともBWR型)、最南端に第三原発(PWR)型、合計3カ所で6基の原発を設置しました。そのすべてがウェスティングハウス(WH)、ゼネラル・エレクトリック(GE)による米国製であり、いずれも戦後の戒厳令下に建設、稼働されたものです。台湾北部・新北市にある第1原発は1979年に運転が開始され、2019年に40年となる。同じく新北市にある第2原発は1981年に運転開始で、退役は2021年。そして、南部の最南端・屏東県にある第3原発は1984年運転開始なので、2024年には寿命を迎える。完成間際だった新北市の第4原発は、馬英九政権が運転を始めようとしたが、2014年に数十万の民衆による反対デモなどを引き起こし、運転開始の無期延期に追い込まれ、ついには建設中止になった。

 

☆第一原発(2基) 運転中
1979年に運転が開始され、2019年に40年となる。
新北市石門区にあり、地名をとって金山発電所とも呼ばれる。台湾の中心都市である台北市の北28Kmに位置しており、大都市に隣接する原子力発電所。 現在、当発電所には沸騰水型原子炉(BWR)2基がある。原子炉と発電機はGEとWHが製造。福島第一原発1~4号機と同様のBWR MarkI型である。

☆第二原発(2基) 運転中
1981年に運転開始で、退役は2021年。
新北市万里区にあり、地名をとって国聖(クオション)発電所とも呼ばれる。第一原発と同様に原子炉が発電機がWHにより製造された沸騰水型原子炉。台北市の北23Kmに位置しており、第一原子力発電所よりさらに大都市に近い。

☆第三原発(2基) 運転中
1984年運転開始なので、2024年には寿命を迎える
屏東県恆春鎮にあり、地名をとって馬鞍山(マアンシャン)発電所とも呼ばれる。台湾北部の第一、第二原発に続き、南部の経済発展に伴って1978年に着工された。台湾の他の原子力発電所と異なり加圧水型原子炉(PWR)である。第一、第二原子力発電所と反対に、原子炉がWH、発電機がGEにより製造された。南部の台湾第二の都市高雄市の南80kmに位置している。

☆ 第四原発(2基) 建設中止(日本)
新北市貢寮区にあり、正式名称は龍門(ルンメン)発電所。直接の受注元はGEだが、一号機原子炉が日立製作所、二号機原子炉が東芝、各発電機が三菱重工業による日本からの輸入原発。住民の反対や、度重なる事故により、計画から30年、建設から10年を超えてもなお完成していない。最近では馬英九政権下、民国紀元(中華民国暦)100年となる2011年に「建国100年行事」として運転開始を目指していたが、一号機中央制御室火災により延期された。 (株)国際原子力広報支援センターは営業運転は2016年以降にずれ込むとの見方を紹介している。また、2012年3月30日には「台湾電力が、相次ぐ工事上のトラブルの自力解決を断念、日立製作所など日米の原発関連企業に全面支援を求めている」と報道された。完成間際だった新北市の第4原発は、馬英九政権が運転を始めようとしたが、2014年に数十万の民衆による反対デモなどを引き起こし、運転開始の無期延期に追い込まれた。

【台湾の原子力発電一覧】

台湾原発一覧

【台湾の原子力発電所MAP】