原発メーカー訴訟

原発メーカー訴訟

原発メーカー訴訟とは、「原発メーカー訴訟の会」が、2014年1月30日(第一次提訴)、3月10日(第二次提訴)に4千名を超える海外および国内の原告を集め、原発メーカー3社(日立・東芝・GE)を東京地裁に提訴した訴訟です。

原発メーカー訴訟の内容

原発メーカー訴訟は、電力会社への責任集中と、「原子力事業の健全な発達」を目的として原発メーカーの免責を謳う「原子力損害賠償法(原賠法)」の違憲性を主張し、原発メーカーにも事故の責任があることを明らかにするために、原発事故を起こしたGE(ゼネラルエレクトリック)、日立、東芝の原発メーカー3社を被告とし、被害者に対する賠償責任を求めて起こした民事訴訟です。
更には、「原賠法」の違憲性のみならず、原発の存在自体が、明らかな憲法違反であるという主張をしました。
原賠法は、日本だけでなく、韓国をはじめ原発を持つ国にはどこにでもあり、原発メーカーが自由に輸出できるというのは、世界の構造的な問題であることがわかります。
原発メーカー訴訟では原告は、日本国内だけでなく全世界から多くの原告を募り、精神的損害を理由に100円を請求してメーカーの責任を明らかにすることを求めました。裁判で争われるのはあくまでもメーカーの責任の有無だけです。
原発メーカー訴訟を起こしたきっかけは、日本から、アジアから、世界から原発を排除するためには世界中の市民が連帯して、情報交換をしながら地道な努力をしていく必要があり、この訴訟に参加することにより、国際連帯を生み出すことができると願ったことです。
(日本国内の原告1,428名、海外の原告2,683 計 4,128名)

その公判闘争における私たちの立場は、人は誰もが基本的人権として「原子力の恐怖から免れて生きる権利」「No Nukes Rights」(ノーニュークス権)をもつというものです。それは世界中にあるあらゆる核兵器と核発電(=原子力発電)の廃止を求める運動になります。それは原賠法によって原発メーカーの保護・拡大を謀り、核による世界支配を続ける原発体制に対しての戦いでもあります。

被害者の立場で徹底して加害者の追及をしてこなかったことが、実は自分たちの加害者の立場を忘却し、加害者である現実を直視しようとしないということと重なります。
原発メーカー訴訟は、メーカーを保護することで原発の拡散を謀る原発体制の構造に切り込む闘争です。反核、反差別、反植民地主義の立場に立つことより、その闘いを全世界に拡げていきました。

「原発メーカー訴訟」の口頭弁論および判決

<東京地裁>
第一回口頭弁論   2015年  8月28日(水)第101号法廷
第二回口頭弁論   2015年10月28日(水)第103号法廷
第三回口頭弁論   2016年 1 月27日(水)第101号法廷
第四回口頭弁論   2016年 3 月19日(火)第101号法廷
一審判決言い渡し  2016年 7 月13日(水)第103号法廷
*原告団の請求は棄却されました

<東京高裁>
控訴審第一回口頭弁論  2017年 9 月19日(火)第103号法廷
控訴審判決言い渡し       2017年 12 月8日(水)第101号法廷
*原告団の請求は棄却されました

原発メーカー訴訟に至るまでの経緯

1. 原発体制を問うキリスト者ネットワーク(CNFE)

2011年3・11福島原発事故後の6月に東京の日本キリスト教団信濃町教会に、教派と超えて、牧師やキリスト者の有志が集まり、過酷事故を起こした原発体制に対して、キリスト者としてどのように抗っていったらよいのか話し合う機会がもたれ、そのような「原発体制を問う」ために力を合わせようと、「原発体制を問うキリスト者ネットワーク Christian Network for Nuke-Free Earth(CNFE)」を設立しました。CNFEでは、勉強会や講演会を通じて、原発体制の実態を学び、様々な活動を行ってきました。
その中で、原発問題とは、地域間植民地主義であり、利権構造であり、抑圧者と被抑圧者の構造であり、神が創造された生きとし生けるもの全てのいのちに敵対する大きな問題であると気付かされました。
特に原発過酷事故は、政官財界、学界、司法、マスコミが一体となって謳って来た「安全神話」に取り込まれ、「原発体制」を許してきてしまった私たち自身の責任も問わなくてはならないのです。
一方、政府・原子力産業界(いわゆる原子力ムラ)は、過酷事故を起した当事者にもかかわらず、その責任を一切問うことなく、生命より金儲けを優先させ、原発再稼動・原発輸出を推し進めています。
特に、原発輸出の問題については、福島事故を起こした原発メーカーが何ら社会制裁を受けることなく、何の謝罪もなしに、政府の支援を受けて3・11以降も、企業利益のために原発輸出を続けている実態があるのに、これを指摘する市民グループもないため、「原発メーカー訴訟」を計画しました。この受け皿として一部の有志が、No Nukes Asia Actions(NNAA)の立ち上げました。

2. No Nukes Asia Actions(NNAA)による訴訟の準備
NNAAに関する詳細は、こちらを参照下さい。

(1)弁護士について
数人の弁護士に依頼しましたが、最終的に、島昭宏弁護士(アーライツ弁護士事務所)が快く引き受け、アーライツ事務所にて訴訟に関する準備の打ち合わせを行い、島昭宏弁護士が「訴状」作成した。弁護団には、島弁護士の知り合いの弁護士(最終的に23名)が参加しました。
島弁護士は訴訟委任状の作成に集中し、事務局は国内および海外の原告の募集を行いました。

(2)原告募集

☆ 日本国内における募集
国内での原告募集は2014年5月からスタートしましたが、認知度が低い、原告参加費の問題などがありました。それらの点の改善に努め、各集会/街頭でのアピールを繰り返す内に、賛同者が増え、その賛同者がまた原告募集の活動をするなど、12月以降、急激に原告参加者が増え、最終的には日本国内での原告参加者が1、445名となりました。

☆海外での募集
既にNNAA設立の段階から韓国、USA、台湾などとのネットワークができておりましたが、それをベースに、各国で原発メーカー訴訟の原告募集を行って参りましたが、2014年11月に韓国釜山で開催されたキリスト教世界教会協議会でアピールすることにより、世界の人々との輪が大きく広がり数多くの原告の募集ができました。
更に、崔事務局長が、台湾、フィリピン、インドネシア、ドイツの国々を直接、訪れ、原発メーカー訴訟をアピールすることにより原告の募集活動を行いました。それにより、海外の原告も39か国 2、683名になり、国内原告と併せ4、128名の大原告団となりました。

(3)東京地裁による訴訟委任状のチェック
2014年3月10日の第二次提訴で、すべての訴訟委任状の提出を終了しましたが、第一回口頭弁論が行われた2015年8月28日まで1年半近くかかりましたが、これは東京地裁において、4,128通におよぶ訴訟委任状の確認作業に時間が掛かったためでした。

<東京地裁の主な指摘項目>
●国内の原告について、押印がない訴訟委任状の再提出(当初、弁護団からは、本人署名があれば、押印不要と指示された。)
●訴訟委任状と事務局が作成した当事者目録と「氏名」や「住所」が異なる。訴訟委任状にかかれた通りの文字で当事者目録を再作成。
●海外原告の不正確と思われる住所が書かれている訴訟委任状の再提出。
●海外の外国語で書かれた訴訟委任状の文章翻訳文の提出

(4)署名キャンペーン

訴訟に並行して、東京地裁の裁判官に対して、公平な裁判を求めて署名活動を行い、6,401筆の「要望書」の署名用紙を提出しました。

原発メーカー訴訟 への2件のコメント

  1. nnaayagi

    GE(ゼネラルエレクトリック)、日立、東芝の原発メーカー3社は、福島事故の責任を取ってください。

    返信

    1. nnaayagi

      そのとおりです。原発を輸出するのも止めてください。

      返信

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